街の本屋は絶滅危惧種か

本グルメに捧げる秘話と裏ばなし

消耗戦、ここは我慢(ブックフォーラム本山、第二部5)

翌日、売り上げは少し戻りました。ただ、杉書房が開店する前と較べれば、やはり低調です。 そら、当たり前やわなぁ。3倍近い広さの店がすぐ目の前にできたんやからなぁ。 現実は現実として受け入れるしかありません。思えば、今までができ過ぎでした。別段…

やっぱり負けか?(ブックフォーラム本山、第二部4)

杉書房のオープンの日が来ました。 朝昼とお客さんの入りは余り良くはありません。杉書房の様子はもちろん気になるので、ほとんど1時間おきに覗きに行きます。お客さんの数はどちらも似たようなものです。 勝負は夕方の帰宅時からだと思っています。 その勝…

なるようになる。(ブックフォーラム本山、第二部3)

後で分かったことなのですが、この新しい書店は、日本図書販売、通称日販(にっぱん)の帳合(ちょうあい)。 東京図書販売(当時、現在のトーハン)と並ぶ大取り次ぎです。因みに、キクヤ図書販売は東京図書販売の二次取り次ぎです。 なんや、大阪屋が嫌が…

根性、腐っとるわ(ブックフォーラム本山、第二部2)

そう言われてみると、向かいの下駄履きマンションの一階の一室のシャッターが閉まったままになっていました。 まさか、まさか、まさか。 どこかの、某小泉首相が言うてた通りに、まさかという坂はやはりあるんやなあ。 事前調査で、儲かりませんよ、言うとっ…

ええ~、嘘やろ~(ブックフォーラム本山、第二部1)

売り上げは順調に伸びています。1日の売り上げは、15万円に近づいてきました。 当時の坪当たりの1日売り上げ高は、平均8千円と言われていました。ブックフォーラム本山の坪当たりの1日売り上げ高を計算すると、およそ2万円になります。大型店に比べて…

僕の愛読書(2)

久しぶりに、僕の愛読書を紹介させていただきます。 夏目漱石の「虞美人草」 百年前の12月9日が、夏目漱石の命日だったそうです。 学生時代、日曜の夜はラジオで日曜名作劇場を楽しみに聞いていました。 森繁久彌と加藤道子のコンビがさまざまな声を駆使…

右肩上がりや(ブックフォーラム本山11)

翌日は、新居社長の言った通りに売り上げがガックリ落ちました。 さすが、プロと言うか、経験が違うというか、見事に当たりました。しかし、感心しとる場合やないなあ。ほんまに大丈夫なんやろか? 不安が募ります。しかし、初日は普段の2倍を売りますと言…

さあ、開店です(ブックフォーラム本山10)

開店です。 店長は妻です。商売は全くの素人(しろうと)です。 幸いなことに、妻の妹が手伝ってくれることになりました。大いに助かります。彼女も、もちろん、商売は全くの素人ですが、心強い味方です。午前中、午後の日の高いうちは極めて暇でした。 とこ…

マガジン?ブック?(ブックフォーラム本山9)

「マガジンフォーラム本山はいかがですか?」工藤部長からの提案です。 「今、我社でフォーラムという名前でチェーン店展開しています。大型店舗はブックフォーラム、小型店舗はマガジンフォーラムという名前で展開しています。もしよければマガジンフォーラ…

ええ名前ないかなぁ。(ブックフォーラム本山8)

ひとつ気になることがあります。 二人の名刺が、キクヤ図書販売ではなく、冨士経営株式会社となっているのです。(ま、いいか) 「開店準備から、開店後の運営まですべて指導させていただきます。最初のひと月は人を一人張り付けます」 「費用はどれくらい掛…

決めました(ブックフォーラム本山7)

「この際だから、正直にお話しますが」と、こちらから切り出しました。実は、昨日大阪屋を訪れたことを正直に話しました。 そして、駅の北側の本屋、甲南堂に仁義を切らねばならないと言われたこと、儲からないと言われたことを話しました。 真面目な顔で聞…

男が廃(すた)る?(ブックフォーラム本山6)

疲れました。 大阪屋での短い時間でしたが、ジャブを続けざまに顔面と腹部に打たれたように気力が萎(な)えてしまいました。 もう、やめにしようかと思いましたが・・・ ここで挫(くじけ)たら男が廃(すた)る。(えっ?そんなもの、とうの昔にすたっとる…

本屋の仁義とは!(ブックフォーラム本山5)

大阪屋へ来ました。 JR兵庫駅で降りて東へ(三ノ宮のほうへ)戻ったところです。ひょろ長いというか、細長いビルの5階に通されました。周りは乱雑(僕にはそう見えました)に積み上げられた本の山です。 小さなテーブルを挟んで、担当の方と向かい合って…

どっちの問屋?

相談員の質問に、「JR摂津本山の駅前で、10坪足らずです」と答えると、「場所はよさそうだが、10坪とはずいぶん狭い」との指摘です。 「全国平均は、えーと」と、眼鏡を持ち上げて手元の資料を見ながら、35坪だと教えてくれました。 「平均の3分の…

単純な奴やなぁ(ブックフォーラム本山4)

あれから、また2週間が経ちましたが、貼り紙はそのままです。頭の中の虫がうずうずし始めました。 電話帳をめくっていて中小企業相談室のようなものがあるのを知りました。インターネットなど無い時代ですから、相談先にたどり着くには、それなりにいろいろ…

五里霧中や!!(ブックフォーラム本山3)

ひと月が経ちましたが入居者募集の貼り紙は貼られたままです。 「なかなか決まらんもんやなあ。だれか、本屋始めたらええのに。流行(はや)ると思うけどなあ」 自分でちょっと調べて見ようかなと言う思いが頭を過(よぎ)りました。 が、・・・・ が、・・…

ひらめいた?いや・・・

会社への往復の電車の中では、文庫本を読んで時間を潰すのが常でした。 その日は、会社へ行く途中で手持ちの文庫本を読み終えてしまい、帰りの電車の中では手持ち無沙汰に車窓の景色をぼんやり眺めていました。「段取り悪いなぁ」と思いながら。 駅に着くと…

始まりは・・・

始まりは、JR摂津本山駅南前の7坪の店でした。 店の名前は、ブックフォーラム本山。 今から思えば、ずいぶんちっちゃい店ですね、何せたったの7坪ですからね。畳み14枚。この店、本当にちっぽけな店ですが、店ができるまでには結構紆余曲折がありまし…

さあ、注文!

本屋の一日(8) 売り上げスリップ(豆知識1)の整理に取り掛かります。本を販売すると、その本に挟まれているスリップを抜き取ります。雑誌の場合、スリップが付いているものと、いないものがあります。 週刊誌とか月刊誌の場合、スリップは原則としてあ…

返品今昔物語

本屋の一日(7) 一昔前ならば、返品といえば、一品一品書名と価格と冊数を書いた返品伝票を作成し、その伝票を商品と共に段ボール箱に詰め込む作業でした。 しかし、今は取り次ぎでの業務の自動化・機械化が進み、返品された本のコードナンバーを自動的に…

友よ明日泣け

今日も、本屋の一日は、引き続きお休みをいただき、僕の愛読書の続きです。 ☆岩波文庫の文庫目録(3) その頃、テレビはまだまだ高級品で、とても仕送りを受けている学生に手が出せるものではありません。携帯用ラジオが夜の友です。 当時僕が聞いていた番…

キネマ旬報の魔力

今日も、本屋の一日は、ひと休みいただき、僕の愛読書の続きです。 ☆岩波文庫の文庫目録(2) 六畳一間の下宿と言いましたが、その下宿、一階には大家さんが住んでおり、二階を下宿として貸していました。賄(まかな)いはありません。 部屋の数は4つあり…

僕の愛読書

今日は、本屋の一日は、ひと休みいただき、僕の愛読書を紹介させていただきたいと思います。最初にご紹介するのはこの本です。 ☆岩波文庫の文庫目録 もう、50年も前の話になります。50年と言えば二分の一世紀、書いていて自分が驚くほどの時が流れていま…

嘘はいけませんよ。

本屋の一日(番外編2):ファックスー2 平均で35通あるファックスのうち、生き残る5通ほどのファックスの正体は、版元からの重版情報です。 すべての書店に、すべての新刊本が配本されてくる訳ではありません。また、配本されたとしても1冊だけの配本であ…

360°? 180°では?

本屋の一日(番外編1):ファックスー1 一日に入信するファックスの数は、統計をとった訳ではないので正確には分からないのですが、感覚的にいうのを許していただけるなら、その数は平均で35通、すなわち30から40のあいだだと思います。 日曜日などは、0…

本日のおすすめ本はすごい

本屋の一日(7) 雑誌の場合は、不定期のムック誌や増刊号を除いては、基本的には定期的な刊行物ですから古い号が残っている場合はそのまま返品すればよく、スペースを確保するために頭を悩ますこともありません。 さらに、雑誌はその種類も限られていますが…

雑誌の次は?

本屋の一日(6) 雑誌を出し終えると開店です。と、言いたいところですが、その前に、まだやるべきことがあります。 床の掃き掃除、拭き掃除を行います。釣り銭をレジに準備します。 店内の照明を点けます。BGMを流します。棚の最終チェックを行い、鱗展示…

「逃げ恥じ」にでた本は?

本屋の一日(5) 鱗表紙で困るのは、本のタイトルが右詰めのもの、 その例の最たるものがCG(カー・グラフィック)という雑誌です。 この雑誌、フルフェイス展示するか、鱗展示する場合は棚の右端に展示しない限り表紙のCGの二文字が陽の目を見ないのです。…

どっちが見やすい?

本屋の一日(4) 棚差しの続きです。 棚差し展示の王道はフルフェイス(FullFace)展示です。表紙の幅が100%見える展示です。 フルフェイスに対して、してはいけないといわれるのが、「鱗(うろこ)」展示です。魚の鱗のように、本の表紙が重なりあっている…

抱腹絶倒Хレシピ本

本屋の一日(3) チェックが終わったら、品出しに入ります。先ずは雑誌から出していきます。 週刊誌、月刊誌を出す場所は大体決まっていて、売れ残った商品があればそれを返品し、空いたそのスペースにその日に入荷した新しい商品を置きます。 入荷冊数の多…

本屋の一日(2)

検品が終われば、商品の陳列です。まずは、雑誌から。 雑誌には、週刊紙、月刊誌とムック紙があります。ムック紙については、余り馴染みがない方が多いと思います。ムックをアルファベットで表わせばMOOKでmagazineのMとbookのOOKを組み合わせた我が国だけに…

どうなる街の本屋?

一時は六軒あったこの界隈の本屋が、今はかろうじて三軒になってしまいました。 2000年現在我が国に21,000店あった書店が現在は10,800店に減少しているというデーターもあり、書店数が半減しているということは動かせない事実です。 これから先、この界隈の…