消耗戦、ここは我慢(ブックフォーラム本山、第二部5)
翌日、売り上げは少し戻りました。ただ、杉書房が開店する前と較べれば、やはり低調です。
そら、当たり前やわなぁ。3倍近い広さの店がすぐ目の前にできたんやからなぁ。
現実は現実として受け入れるしかありません。思えば、今までができ過ぎでした。別段なんの努力をした訳でもないのにここまでの結果が得られたのは僥倖(ぎょうこう)以外の何ものでもないと思います。
「好事、魔多し」と言いますが、将にその通りになりました。
今は、やることを地道にやる、努力することを厭(いと)わず続けるしか仕方がないのでしょうか。
「継続は力なり」誰の言葉かは知りませんが、蓋(けだ)し名言です。
「継続は疲れる」こちらは、元読売ジャイアンツの某遊撃手の迷言?確かに疲れるわなぁ。
ひと月が経ちました。杉書房ができた影響で売り上げはおよそ25%落ち込みました。
一方、杉書房はと言えば、開店初日こそ賑わいを見せていましたが、最近ではお客さんの数もめっきり減りブックフォーラム本山を下回る日々が続いています。そうなると、店の床面積に比例して家賃が高いぶんだけ経営は苦しいに違いありません。
しょうがない、こうなったら、消耗戦やな。
儲からんというほど悪くはないし、小遣いに毛が生えた程度の儲けにはなってるんやから、ここはひたすら我慢ということやな。(ブックフォーラム本山、第二部完)
☆本日のお薦め本
「熟語本位 英和中辞典 新版」 斎藤秀三郎,豊田実,八木克正 岩波書店
不朽の名著『斎藤英和』、待望の読みやすい新版が登場
後日、「僕の愛読書」にも登場します。ご期待下さい。
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やっぱり負けか?(ブックフォーラム本山、第二部4)
杉書房のオープンの日が来ました。
朝昼とお客さんの入りは余り良くはありません。杉書房の様子はもちろん気になるので、ほとんど1時間おきに覗きに行きます。お客さんの数はどちらも似たようなものです。
勝負は夕方の帰宅時からだと思っています。
その勝負の時が来ましたが、来客数は伸びません。杉書房はと言えば、大勢のお客さんで賑わっています。
やっぱり、狭い店では勝負にならんのかなぁ。そうこうするうちに、閉店の時刻です。レジを締めてみてガックリです。
10万円に届きません。最近ではなかったことです。大雑把に見て、いつもの60%といったところでしようか。
これでは、大阪屋の「儲かりませんよ」と、キクヤの「小遣い程度なら」に、後戻りです。なんのことはないなぁ。
待ってください。ちょっと閃いたことがあります。
キクヤの新居社長の伝によれば、杉書房のこの日の売り上げは、開店当日ということで、本来の売り上げの2~3倍だったのかも知れません。
だけど、まあ、勝手にこっちの都合のええことばっかり考えとってもあかんわなぁ。(続く)
☆本日の最多入荷書籍
「よるのばけもの」 住野よる 双葉社
「見てる、知ってる、考えてる」 中島芭旺 サンマーク
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なるようになる。(ブックフォーラム本山、第二部3)
後で分かったことなのですが、この新しい書店は、日本図書販売、通称日販(にっぱん)の帳合(ちょうあい)。
東京図書販売(当時、現在のトーハン)と並ぶ大取り次ぎです。因みに、キクヤ図書販売は東京図書販売の二次取り次ぎです。
なんや、大阪屋が嫌がったのに、日販はやるんかい。ぼちぼち、いろんなところから情報が漏れ伝わって来ます。
競合書店の名前は「杉書房」。大手鉄鋼会社、S金属工業を定年退職された人がオーナーだと聞きました。
それから間もなく、内装工事が始まりました。外から覗いて見た限りブックフォーラム本山の2倍~3倍の広さがあると思えます。品揃えを考えただけで強敵です。と、言うよりも品揃えという観点から見たら、とても勝負にならないと言ったほうが当たっているでしょう。ぞっとします。
駅からの距離はふたつの店共に、10~15メートルと言ったところでしょうか。距離的には、ほとんど差異はないと言えます。唯一、こちらのメリットは駅の改札口から店が見えること。
裏を返せば、向こうのデメリットは駅の改札口から店が見えないこと。ビルの角を曲がってようやく書店の存在が認知できることです。それだけのメリットで太刀打ちできるのでしょうか?
こういうことは、考えて答えがでるものではありません。
下手(へた)の考え休むに似たり。碁盤を挟(はさ)んで黒石を握りながら、僕が何度も親父から聞かされた言葉です。
そう、もう悩むのはやめます。
なるようになる。
ケ・セラ・セラ
Whatever will be, will be. 先のことなど、分からない。
それにしても、どうなるんやろ・・・(続く)
☆本日の最多入荷書籍
「貘の檻」 道尾秀介 新潮社
「炎路を行く者」 上橋菜穂子 新潮社
「悟浄出立」 万城目学 新潮社
「春となりを待つきみへ」 沖田円 スターツ出版
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根性、腐っとるわ(ブックフォーラム本山、第二部2)
そう言われてみると、向かいの下駄履きマンションの一階の一室のシャッターが閉まったままになっていました。
まさか、まさか、まさか。
どこかの、某小泉首相が言うてた通りに、まさかという坂はやはりあるんやなあ。
事前調査で、儲かりませんよ、言うとったやないですか、大阪屋さん!
小遣い程度なら、言うとったやないですか、キクヤさん!
ブックフォーラム本山の噂を聞きつけての出店なのでしょうか。
自由競争やから、出店は自由や言うてたなぁ、田中さんが。ブックフォーラム本山の開店前のやり取りが思い出されます。
しかし、いくらじたばたしてみても、どうなるものでもありません。なにか打つ手はと考えて見ますが、妙案は全く浮かんで来ません。
それにしても、どこの誰なんやろう?気に食わんなぁ。
ひとがうまいこと行ったから言うて、すぐに真似するとは根性が腐っとるわ。(続く)
☆本日の最多入荷書籍
「人生を美しく生きる女は、服の下から美しい」 キャスリン・ケンプ・グリフィン ディスカヴャー ・トゥエンティワン
人生を美しく生きる女は、服の下から美しい フランス女性に学ぶ 大人のランジェリーのすべて
- 作者: キャスリン・ケンプ・グリフィン
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2016/12/23
- メディア: Kindle版
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「美しく生きる女(ひと)のお金の作法」 大竹のり子、泉正人 ディスカヴャー ・トゥエンティワン
美しく生きる女(ひと)のお金の作法 ささやかな26の習慣で、お金が貯まりだす
- 作者: 大竹のり子,泉正人
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2016/12/23
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「オスロ警察殺人捜査課特別班」 サムエル・ビョルク,中谷友紀子 ディスカヴャー ・トゥエンティワン
「本番に強い子の育て方」 森川陽太郎 ディスカヴャー ・トゥエンティワン
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ええ~、嘘やろ~(ブックフォーラム本山、第二部1)
売り上げは順調に伸びています。1日の売り上げは、15万円に近づいてきました。
当時の坪当たりの1日売り上げ高は、平均8千円と言われていました。ブックフォーラム本山の坪当たりの1日売り上げ高を計算すると、およそ2万円になります。大型店に比べて小型店のほうが大きな数値を示すので、8千円と2万円を単純に比較することはできませんが、良好な数字であることに変わりありません。関西でトップの数字であると言われたりもしました。
特にこれと言う努力をした訳でもないのに、これだけの数値をたたき出せたのは、ただ一重にラッキーだったとしか言いようがないと思います。
なんか、うまく行き過ぎて恐いくらいやなぁ。まあ、図に乗らずに、気を引き締めていかんとなぁ。
そんなある日、返品を取りに来たキクヤの営業の人からとんでもないことを聞かされました。向かいのビルに本屋ができるというのです。
ええ~、ええ~、嘘やろ~。
☆本日の最多入荷書籍
下剋上受験[文庫版] ―両親は中卒 それでも娘は最難関中学を目指した!
- 作者: 桜井信一
- 出版社/メーカー: 産経新聞出版
- 発売日: 2016/12/22
- メディア: 文庫
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「はじめての人のための3000円投資生活」 横山光昭 アスコム
日本全国、四季のまつりとご当地ごはん
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僕の愛読書(2)
久しぶりに、僕の愛読書を紹介させていただきます。
百年前の12月9日が、夏目漱石の命日だったそうです。
学生時代、日曜の夜はラジオで日曜名作劇場を楽しみに聞いていました。
森繁久彌と加藤道子のコンビがさまざまな声を駆使して、幾多の名作のストーリーを展開していく番組でした。
漱石の作品と言えば、「我輩は猫である」とか「坊っちゃん」ぐらいしか知らなかった僕にとって「虞美人草」は、新鮮な驚きであると同時に、不思議な魅力をもった作品でした。
漱石が東京帝国大学教授を辞め、朝日新聞に入社した後の第一作です。この作品、肩に力が入り過ぎているとして余り高く評価しない向きもあるようですが、自作の俳句を惜しみもなく地の文に埋め込んで用いるなど、漱石の意気込みが随所に読み取れます。
このラジオを聞いたことがきっかけで、仕送りをなんとか工面して当時刊行が始まっていた岩波書店の漱石全集を買い求めました。
何度か読み返した作品ですが、朱色に黄緑色の篆刻(てんこく)文字の漱石全集の表紙を目にする度に、今でも日曜名作劇場のテーマ音楽が耳の奥に蘇(よみがえ)ってきます。
漱石没後百年を記念して、岩波書店から漱石全集が刊行されます。
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右肩上がりや(ブックフォーラム本山11)
翌日は、新居社長の言った通りに売り上げがガックリ落ちました。
さすが、プロと言うか、経験が違うというか、見事に当たりました。しかし、感心しとる場合やないなあ。ほんまに大丈夫なんやろか?
不安が募ります。しかし、初日は普段の2倍を売りますと言った新居社長の次の言葉が頭に浮かび上がってきました。3年間は、右肩上がりですからとのことです。もう、乗り掛かった船と言うか、乗ってしまった船なのですから、とやかく言っても始まりません。
1ヶ月が経ちました。
売り上げは順調に伸びています。横軸を時間、縦軸を売り上げとしてプロットしてみると、見事に右肩上がりの直線です。
開店一周年までには、1日の売り上げを10万円まで伸ばしたかったのですが、大幅に短縮して実現することができました。
もう、儲からんやろかとか、小遣い程度なら儲かるとか、そんなことを心配せずにすみます。やれやれやなぁ。
3年間は売り上げが伸びるとのことやから、もうひと頑張りせなあかん。
☆本日の最多入荷書籍
「ヒミツがまる見え! 「おいしい!」 の断面 」 TDK(食べもの断面協会) サンクチュアリ出版
ヒミツがまる見え! 「おいしい!」 の断面 (Sanctuary books)
- 作者: TDK(食べもの断面協会)
- 出版社/メーカー: サンクチュアリ出版
- 発売日: 2016/12/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
あぁ、見れば見るほど、食べたくなる。
☆お薦め本
「松谷みよ子 あかちゃんの本 いないいないばあ」 松谷みよ子、瀬川康男 童心社
あかちゃんがほんとうにわらうんです。
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